イタリア映画「愛と銃弾」の感想。なんでしょうこのエンタメ大好き感。
先日イタリア映画の「愛と銃弾」を見てきました。
イタリア映画は好きです。出てくる人全員が歌ってるみたいに軽快なリズムで話すから。ま、そんなにたくさんは見てないけど…
早速どんな映画なのかご紹介させていただきます!
あらすじ - 愛と銃弾
マフィア同士の抗争が盛んなイタリア・ナポリ。看護師のファティマは、水産市場を仕切るマフィアのボスとその夫人が巻き起こした騒動の真相を偶然目撃してしまい、犯罪に巻き込まれてしまう。マフィアの手下であるチーロはファティマを始末しようとするが、なんと二人はかつての恋人同士だった。
登場人物 - 愛と銃弾
チーロ - ジャンパオロ・モレッリ
ファティマ - セレーナ・ロッシ
マリア - クラウディア・ジェリーニ
ヴィンチェンツォ - カルロ・ブッチロッソ
ロザリオ - ライツ
以降内容に触れてます!ネタバレ一切ダメな方お気をつけください。
まさかのマフィア×ミュージカル - 愛と銃弾
あらすじからはクライムサスペンス的なものを想像すると思うんですが、そういった予想はがっつり裏切られます。
冒頭からなんだか様子がおかしい。棺桶の中から轟く歌声、みんな泣いてる。お葬式のようです。
そう、いきなりお葬式ミュージカルから始まっちゃいます。「ロッキー・ホラー・ショー」とかそういうものが脳裏をよぎりました。
これ完全なる宣戦布告なんですよね。
もうここでこのノリについていけるヤツだけついてこいっていうのが提示される訳です。無理なヤツは無理だぞと。
お話はコメディーも入ったクライムアクションっぽい感じなのですが、いかんせん要所要所にミュージカルが入ってきます。
このミュージカルがほんとに良い。楽しい。
曲もポップスからシリアスな感じのもあり様々で、バラエティに富んでます。
深夜の病院でいきなりむちゃくちゃ高らかに愛の歌を唄い上げちゃったりするんで、あかん患者起きてまうとか思ってたら患者も踊りだしたりしてて最高でした。
感情高ぶって歌い出しちゃうという流れですが、多くのシーンで撮影方法が手持ちカメラっぽく自然に揺れるので、ちょっと一歩引いた目線みたいなものを感じます。ミュージカルって綺麗なカメラワークのものが多いですがこれはそういう点でも異質。ダンスのきっかけもぬるっと始まったり、完璧に演出されてるというよりはなんか味のあるミュージカル、なんです。
ふとAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を一般企業とか福祉施設とかの従業員さんたちがゆるゆる踊ってた、あの雑多なゆるい感じを思い出しました。伝わるかな。
キャラクターの安心感 - 愛と銃弾
一途すぎるイケメン主人公、正義感の強いヒロイン、愛すべき悪役夫婦、エリートマフィア、などなど、憎めないキャラクターたちも見所の一つです。
結構悪いことはしてるんだけど、ほんとにむちゃくちゃ悪いやつはいないんですね。少年ジャンプっぽいキャラクター感ですごい馴染みやすいです。
もはやインド映画なのでは - 愛と銃弾
これ見終わってしばらくして気づいたんですけど、めちゃくちゃインド映画っぽいんです。
といっても民族的な音楽があったりという訳ではなく、映画としての要素に通じるものがあります。
そう、めちゃくちゃ盛りだくさんなんです。
アクションあり、ロマンスあり、歌あり、笑いあり、伏線回収あり、美男美女あり、パロディあり、兄弟の絆あり、離れて暮らす娘あり…となかなかこってりな内容となってます。
主軸のストーリーがわかりやすくて特に終盤かなり面白いので、それだけでも成り立ちそうなものですが、これでもかというほど娯楽要素を詰め込んでサービスしまくってるのがこの映画の魅力でもあります。
スタイリッシュなだけが映画の良さじゃないんです。製作陣の映画好き感が伝わってきますね。
エンタメに飢えているあなたにぜひ - 愛と銃弾
本当に毎日暗いニュースが多いんです。しんどい現実から逃れるためにはエンタメが必要なんです。
本作はすっごい作り込まれたファンタジーという訳でもなければ、社会に問題提起する作品という訳でもありません。しかし、このエンタメへの敬意というものはどの作品にも負けないと思います!
人を楽しませたい、映画を見て楽しんでもらいたいという、製作陣の熱意と遊び心が伝わってくる良作です。