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【ネタバレ】アメリカ映画「ブロークバック・マウンテン」の感想。抑圧は何を残したのか。

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ブロークバック・マウンテン


アメリカ映画の「ブロークバック・マウンテン」を見ました。
なんとなくゆるい映画なのかなと最初は思ってましたが、ほんとぜんぜんゆるくなかったです、、、切実な愛の話でした。

 

 あらすじ - ブロークバック・マウンテン

舞台は1960年代ワイオミング州ブロークバック・マウンテンで羊の放牧の仕事を引き受けたイニスとジャック。二人は山での過酷な労働を経て徐々に友情を深めていく。ある日ジャックがイニスにキスをし、二人は行為に及んでしまったことでお互いを愛し合うが、山を降りると普通の異性愛者としての生活に適応していこうとする。

 

 登場人物 - ブロークバック・マウンテン

イニス・デル・マー - ヒース・レジャー

ジャック・ツイスト - ジェイク・ギレンホール

ラリーン・ニューサム - アン・ハサウェイ

アルマ・ビアーズ - ミシェル・ウィリアムズ

 

以降ネタバレします。お気をつけください。

 

雄大な自然、なんのしがらみもない楽園 - ブロークバック・マウンテン

冒頭からしばらくの空虚な会話、淡々と流れる時間、自然の厳しさを感じながらの山での生活が、なんとも微笑ましいです。決して楽ではないけれど充実した時間を二人で過ごしています。この前半部分を見ていると、本当にこの時間がずっと続けばいいのにと願ってしまいます。ジム・ジャームッシュの「パターソン」とか、こんな感じでのんびりした日々がずっと続くだけの映画でしたね。でもこの映画はそうではないんですよね。。。本当にこの前半部分があるから余計に後半が超しんどいです。

 

 自分を騙しながら生きること - ブロークバック・マウンテン

男性同士で愛し合うことが認められていなかった時代です。イニスは子供の頃に惨殺された同性愛者の無残な姿がトラウマになっています。

お互いの気持ちに気付きながらも、山を降りると二人とも異性愛者として女性と結婚してしまいます。

しかし結婚生活は手放しではうまくいかず、結局ジャックの手紙がきっかけで年に何度か山で密会するようになります。

不倫のようなことになっていってしまうんですね。

自分を騙しながら生きてく二人は、周りもどんどん不幸にしていっているようにも見えます。

イニスはジャックのこと以外に何も興味がないように見えるし、ジャックもイニスに会えるというとき以外は無理やり夫を演じているような雰囲気です。

普段の生活では平静を装っているように見えても二人ともきっかけさえあればブチギレてしまっていました。

無理やり自分を型にはめて生きていった代償として、だんだんとやりきれない感情がはみ出てしまい、山だけが自分を解放できる場所になっていきます。

 

ただ一つ違っていれば全て違っていた - ブロークバック・マウンテン

どんどん残酷な運命を辿ってしまう二人。

イニスが「あの時お前が誘ったりしなければこんなに苦しむことはなかった」と嘆く場面が印象的です。

同性愛に偏見のない世界であればここまで苦しんだのでしょうか。

自分の気持ちに蓋をして自分は異性愛者だと言い聞かせる。それでも思い浮かぶのはお互いの顔ばかり。

一つだけ世界が違っていれば自分を嘆く必要も相手を責める必要もなかったし、結婚相手を不安にさせることもなかったのです。

社会が生んだ偏見がこんなにも誰かの人生をボコボコに破壊するんだということを、思い知りました。

 

 愛は社会が制限していいものなのか - ブロークバック・マウンテン

とにかく苦しいししんどいですが、いい映画です。

誰かが愛し合うことを社会が阻むというのは生まれなくてよかったはずの苦しみを生みます。

なんの気無しの発言で人格を全否定し、育まれた愛情を粉砕してしまうことこそ生産性のないことです。

 

 

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