おりがみのおりがみ

映画が好きと堂々とは言えない程度

アメリカ映画「チョコレートドーナツ」の感想。異物排除ムードがもたらしたものとは。

 


 

 

今回は大好きなアメリカ映画「チョコレートドーナツ」についてご紹介させていただきたいと思います。
何度見ても目頭が熱くなってしまうので見るときは一人で見ます。笑

 

 あらすじ - チョコレートドーナツ

ショーダンサーとして働くルディの元に客として訪れた検事のポール。二人は次第に惹かれ合うようになる。ある日ルディの住むアパートの隣の部屋に住むダウン症の子供・マルコの母親が、違法薬物所持で逮捕される。マルコを放っておく事が出来ず、二人は彼を引き取り監護者となることを決意する。

 

 登場人物 - チョコレートドーナツ

監督 – トラヴィス・ファイン
ルディ・ドナテロ - アラン・カミング
ポール・フラガー - ギャレット・ディラハント
マルコ・ディレオン - アイザック・レイヴァ


チョコレートドーナツ キャスト


以降内容に触れています。ネタバレダメな方お気をつけください!

 

 

マルコを引き取ったのは単なる良心か - チョコレートドーナツ

他意のない良心は美しいです。でもルディがマルコを引き取ったのはそれだけではなかったのかなあとも思いました。
自分と同じように何もしていないのに世間から見放されるような存在のように感じたのではないでしょうか。
ルディもポールも優しく素晴らしい人間ですが、正義を持ってして漠然と行動していたというより、マルコのことも「自分ごと」のように感じてしまったのではないでしょうか。ゲイカップルが子供を持つのは当時は大変だと思いますし、マルコと本当の家族のように暮らしていた日々は涙ぐましいものでした。

 

現代社会にも通じる異物排除モード - チョコレートドーナツ

ルディとポールはいとこ同士ということにしてマルコと幸せに暮らしていたのですが、ルディとポールがカップルだということがポールの上司に悟られてしまい、二人からマルコを取り上げようと色々仕掛けてくるのですが、まあその手口が卑劣です。
そもそもなぜゲイカップルにみんな構いたがるのでしょうか。なぜ存在自体を許すことができないのでしょうか。
相手の弁護士がルディがマルコの前で女装をしていたことを指摘していましたが、いや子供の前で薬物使ってる母親の方がやばいでしょ…
正論では考えずとにかく「異物は排除せよ」という思考停止に陥ってしまっているのです。
ルディが言っていたようにどうせマルコのことだってどうでもいいのです。その気にも留めない人生の一つ一つを破壊したがる狂った奴らが大衆の多くを占めていたこの時代。「お二人の関係なんて毛ほどの興味もありません」と言い放ったマルコの通っていた教室の女性教員だけが唯一の救いです。

 

 

子供は親を選べない - チョコレートドーナツ

「チョコレートドーナツ」の評価やレビューの中で「流石にお母さんが悪者扱いされすぎている」というのを聞いたことがあります。
確かにこの意見、わからないでもないです。
マルコの母親は薬物中毒でよくわからない男を家に招いてはマルコを部屋の外に出したりするような女性です。あまり母親らしいとは言えないかもしれません。
でも女性だけでは子供はできません…、マルコには父親もいるはずです。
父親がどこの誰かわからないのか、はたまた亡くなったのか、暴力を受けて逃げてきたのか、など真相は映画の中では明かされません。確かに彼女一人でダウン症の我が子を育てるのはものすごく大変だったと思います。
この映画は彼女を完全否定しているのではなく、そんな彼女も被害者であり、だからと言ってさらなる犠牲者を出してはいいのか?ということを伝えたかったのではないでしょうか?
彼女は辛いかもしれません、かわいそうかもしれません、でもそれとマルコが部屋の外に出されたり、施設に強制的に引き取られたりすることは関係があるでしょうか?
子供は親を選べません。もし彼女が望まずにその状況に陥ってしまったとしてもマルコにはどうすることもできません。
では誰が救いの手を差し伸べるのか?本来であれば社会です。
でも本当に愛情を持っているのであれば社会ではなく第三者でもいいのではないでしょうか?



何が悪影響かを考える - チョコレートドーナツ

この時代ゲイカップルが子供を育てることは悪影響があるという偏見にさらされていたということがよくわかります。
現代でも偏見は亡くなっていないでしょう。
もちろん子供に悪影響を与えるようなゲイカップルはこの世に1組もいないとは言えません。でも子供に悪影響を与えるような異性愛カップルはこの世に1組もいないとも言えないですよね。
そういうことなんだと思います。


くだらない偏見がもたらした悲劇についての映画 - チョコレートドーナツ

ゲイ映画だと思って嫌煙せず、とにかく最後までみてください!
人の優しさと残酷さ、偏見の怖さについてじっくり考えることができる名作です。

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