おりがみのおりがみ

映画が好きと堂々とは言えない程度

【ネタバレ】ドイツ映画「希望の灯り」の感想。何気ない日常に光が差していく。

希望の灯り


先日ドイツ映画の「希望の灯り」を見てきました。
時代に取り残された化石のような人々が毎日を丁寧に過ごしていく、そんな日々がだんだんと美しく見えてくるような素晴らしい映画でした。

 

 あらすじ - 希望の灯り

試用期間を設けて深夜のスーパーマーケットの商品陳列係に採用されたクリスティアン。なかなか業務に慣れることができない彼だが、ブルーノを初め周囲の暖かいフォローの中でだんだんと仕事を覚えていく。そんな中、クリスティアンは同僚のマリオンにだんだんと惹かれるようになっていく。

 

 

 登場人物 - 希望の灯り

クリスティアン - フランツ・ロゴフスキ

マリオン - サンドラ・フラー

ブルーノ - ペーター・クルト

ルディ - アンドレアス・レオポルト


すこし謎めいた主人公クリスティアンを演じるのはフランツ・ロゴフスキ。ミヒャエル・ハネケの「ハッピーエンド」などにも出演しています。最近この方のでている映画を見る確率が高く、その何考えてるかわかんない感じにだんだん惹かれてきました。クリスティアンが恋をしてしまうマリオンを演じるのはサンドラ・フラー。どこかで見たことがあると思えば「ありがとう、トニ・エルドマン」でものすごく難しい役どころを演じていた女優さんでした。

 

以降ネタバレ含みます!お気をつけください。

 

深夜のスーパーマーケット - 希望の灯り

朝と夜が逆になった人々にスポットライトを当てた本作。私たちの便利な暮らしを支える夜間労働者の人々、人気のない物静かなスーパーマーケットでは、そんな人々の様々な人間模様がうかがえます。このシチュエーションだけでもかなりグッときます。倉庫萌えのみなさま、ぜひ。

 

緩やかに進む日々 - 希望の灯り
一見地味な映画ですが何にも起きないわけではないんですよね。
テンションは高くないですが静かにいろんなことが変わっていく。でもそんなに大きくは変わっていないのかもしれません。

終盤にかけて全身刺青の入ったクリスティアンの過去も少しずつ明かされていきます。ここは少し観客の偏った視点とかも試されているのかもしれません。

そして日々に少しずつ少しずつ希望を見出していきます。マリオンとクリスティアンの微妙な関係にも、少しずつ変化が見えるような見えないような…。
そんなささやかな日々がとてつもなく繊細に丁寧に描かれています。

 

生きていく意味 - 希望の灯り

ネタバレしてします。

 

クリスティアンの研修に付き添って毎日仕事を教えていたブルーノは、自殺をします。まるでクリスティアンが一人前になるのを見計らったように。毎日生きていることが当たり前になってくると、ふと我に帰る瞬間があるのかもしれません。最後に自分の人生にクリスティアンという意味を持たせたかったのかもしれません。でもクリスティアンの生きる毎日を見ていると、人生に意味など必要なのかという気持ちになります。

静かな映画ですが、一人でじっくりと考えることができるような作品で、すごく見応えがありました!
まだ公開中ですのでぜひ、チェックしてみてください。