おりがみのおりがみ

映画が好きと堂々とは言えない程度

アメリカ映画「グリーンブック」の感想。人の優しさを信じることは偽善か。

グリーンブック


先日レイトショーで2019年アカデミー賞作品賞を受賞した「グリーンブック」を見てきました。
一言で言うと感動超大作というよりはゆるくてほっこりする話という感じでした。この映画の作品賞受賞に関してはアカデミーの体制が問われたりと様々な論争を呼んでいますが、早速どんな作品か書いていこうと思います。

 

 あらすじ - グリーンブック

白人だが貧しい育ちのトニー・リップはクラブの用心棒のような存在。クラブが長期休業するため短期間での職探しをしていたトニーは、黒人のジャズピアニストのドクター・シャーリーのコンサートツアーに同行する運転手として働くこととなる。

 

 登場人物 - グリーンブック

トニー・“リップ”・バレロンガ - ビゴ・モーテンセン

ドクター・ドナルド・シャーリー - マハーシャラ・アリ

ドロレス - リンダ・カーデリニ

オレグ - ディミテル・D・マリノフ

 

以降内容に触れています。浅めですがネタバレ絶対ダメな方お気をつけください。

 

みんな大好き友情モノ - グリーンブック
日本では恋愛映画より友情映画が流行る傾向があるような気がするのですが、本作ももれなくこれに尽きます。人種の違う2人の男性が、旅を通じて一緒に過ごしていく中で、純然な人と人のコミュニケーションに立ち返るというものです。
何と言ってもこのキャラクター2人がベタだけどみんなが求めている感じなんです。うますぎて小憎いくらいです!
まずトニーのキャラクター、ガサツで不器用でちょっとデリカシーに欠ける部分もあります。くせものっぽい彼ですが根は奥さん思いのいいやつで割と素直なやつです。
反対にドクは繊細で教養のあるちょっとプライド高い感じのキャラクター。
この2人がお互いの違った個性で、お互いを助け合っていくというストーリーになっています。

グリーンブックは白人を喜ばせるための映画なのか - グリーンブック

鑑賞後は心が温まりましたし晴れやかに気分になったわけですが、結構白人を喜ばせるための典型的な黒人利用映画だというような意見も多いようです。60年代の差別の色濃いアメリカの状況を描いて、まるで現在は差別がないかのように見えると。
うーんそういうものなんかなあ…
私個人としてアメリカの歴史や人種差別に詳しくないのでここをはっきりどうこう言えるものではないのですが。

一応自分の中で一つの答えにたどり着いたのは、「最強のふたり」の時と似てるよなあと思って、あ、そういうことかと考えました。


グリーンブックと最強のふたり - グリーンブック

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最強のふたり」は障害のある白人男性とその世話係の黒人男性の話でしたが、公開当初はそのブラックジョークの不謹慎さに批判もありました。
しかし、この映画はあくまで「最強のふたり」についての映画なのです。
全ての障害者の人のための映画でもなければ、黒人の人権保護のための映画でもありません。
たまたまこの2人だからうまくいったという映画ですね。別に全ての障害者にブラックジョークを言ってもいいという意味ではないのです。嫌がる人もいるし嫌がらない人もいるというだけの話ではないでしょうか。
グリーンブックもそうで、これを全ての黒人差別の歴史に当てはめるとか、白人は全員根はいいやつだとか言いたいわけではなくて、トニーとドクがたまたま上手いこといったというだけではないでしょうか。

人の優しさを信じてみたい - グリーンブック

人の根っこの善良な部分をとりあえず信じてみたい、という映画なんだと思います。そうすればうまくいく例だってあるはずさ、はなっから分かり合えないなんて思わないで、という映画なんではないかなと思いました。そう考えるととても素敵な映画だったと思います!

ちなみに鑑賞後はサントラ聴きまくってます〜音楽もいいのでぜひ